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青春ミステリ「ロストデイズ」
5月9日(金)~25日(日) 赤坂レッドシアター 脚本 米山和仁(ホチキス) 千葉美鈴 演出 毛利亘宏(劇団少年社中) 企画・プロデュース 杉田龍彦(デジタルハリウッド・エンタテインメント) 劇団少年社中 ホチキス DHE (旧デジタルハリウッド・エンタテインメント) フォロー中のブログ
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1-2
その週の金曜日、あたしは1限がはじまる前に、彫刻科の敷地を訪れた。 静寂だった。誰もいなかった。だからあたしは敷地内に足を踏み入れてみた。 グローブの人が彫っているのは、女性の姿に見えた。 石に触れてみる。冷たい。ひんやりとしていて、思ったより硬い。あたしは彫られた部分に沿って、手を滑らせる。手のひらが石に吸いつけられているみたいだ。 「引き算なんだよ。彫刻は」 突然声が聞こえて、あたしは石から手を離した。 男の人が立っている。手にはグローブをしている。 「それから哲学でもあるらしいよ。俺はよく分かんないけど」 「ごめんなさい」 「なにが?」 「勝手に入って、勝手に触って」 「この大学の人?」 「文学部です」 「彫刻に興味あんの?」 彫刻に、興味? 分からなかった。あたしは彫刻に興味があるんだろうか。 でも、もしも興味がないんだとしたら、なぜあたしはいまこの場所にいるんだろう。 「まぁいいや。もし興味あるんだったら、遠慮しないで時たま見においでよ。多分一ヵ月もあれば仕上がると思うから」 あたしは頭を下げて、その場を去ろうとした。 そして走り去ろうとしたとき、聴いておきたいことを思い出して、振り返る。 「あの!」 「俺、澤口邦弘」 「あ、そうじゃなくて、どうしてグローブしてるんですか?」 「知ってる? 美少女戦士厚化粧さん。日曜の朝にやってるんだけど」 「……たまに見てます。父が」 「好きなんだ、あれ」 変な人。 あたしはその答えを聞いた時、ふと気がついた。 彫刻に興味があるかは分からないけれど、澤口さんには多少興味がある。それは異性としてというわけではなく、人間として、だ。あたしは頭を下げて、その場を後にした。 家庭教師のバイトに行く前に、『美少女戦士厚化粧さん』を見てみようと思ったけれど、目が覚めた時間には既にエンディングの歌が流れていた。 「今日の厚化粧さんはいまいちだったな」 お父さんが煙草を吸いながら呟く。日曜の朝からアニメをている父親ってどうなんだろう……って考えながら、あたしはバイト先に向った。 つづく (千葉美鈴 著・撮影) #
by lostdays-ex
| 2008-04-29 16:27
| ブログ小説「プリズムリズム」
プリズムリズム 第1話「せなかあわせの秋」澤口邦弘編 2007年10月×日
(千葉美鈴 著・撮影) 1-1 あたしは何をしてたんだろう、と時々思う。 気付いたら季節は秋で、大学の構内は薄い桃色から黄色に変わっていた。 この半年、あたしがしたことと言えば、退屈な講義に参加して、いくつかのテストを受けて、家庭教師のアルバイトをして、そして新しい自転車を買った。 仲良くなった同級生は何人かいるけど、それは構内だけの話で、プライベートな時間は共有しないっていうのが、暗黙のルールになっていた。あたしたちは驚くほどお互いのことを知らない。家族のこと、恋人のこと、アルバイトのこと、将来のこと。果たして彼女たちはあたしの友だちなのか、って考えると、頭をひねらざるを得ない。 だからその中の一人の子に、「麻衣に紹介したい人いるんだ」って言われたときは驚いた。 彼女に連れてこられたのは、美術学部の彫刻科の敷地だった。 校舎の裏手に小さな公園ほどのスペースがあって、いくつかの白い石が置いてあった。 カンカンカンという、高音が響き渡っている。石を打つ音だ。 「あの人、見て」 彼女が指す方向には、三人の学生がいた。 そのうち二人はしゃべりながら2m近くある石を打っている。もう一人はなにかにとり憑かれたように、無言で石を打っている。しかも手には白いグローブ……? 「背の高いほう」 彼女の目的はしゃべっている二人のうちの一人だった。かがんだり、しゃがんだりするから、どっちの背が高いのかは分からなかったが――つまり二人のうちどっちがお気に入りなのか分からなかった――、あたしは曖昧に相槌を返した。 そして心のどこかで安心している自分に気付いて、また驚いた。 なんで、グローブなんてしてるんだろう……。 なにを創ろうとしているんだろう……。 結局、あたしは誰にも紹介されていない。「紹介したい」っていうのは、「見せたい」っていう意味だったらしい。あたしたちはただ、彼らが石を打つ姿を盗み見て、石の打たれる心地いい高音を聴いたのだ。 つづく (千葉美鈴 著・撮影) #
by lostdays-ex
| 2008-04-28 22:43
| ブログ小説「プリズムリズム」
「ロストデイズ」
はじめましての人は、はじめまして。 どこかで見たという人は、お久しぶり。 脚本担当の、劇団ホチキス米山です。 「ロストデイズ」面白い作品となっていますので、是非お越しください。 赤坂レッドシアターという、最近盛り上がってる赤坂の中で、同じく話題作が目白押しで盛り上がっている劇場での公演です。そこのところもご期待ください。 ロストデイズ・・・失った日々です。 「切ない話?」 と友人に聞かれました。 「どうして?」 と聞くと、 「失った日々を思い出すと、悲しくなるから。」 と答えたのです。 なるほど。 このブログをご覧の皆さんも、失ってしまった日の一つや二つ、必ずあるはずです。 あの人とのあの、ときめくような毎日。 あいつからのメールを待ち望み、ケータイでメールチェックを頻繁にしてしまったあの夏の日。 あの子と喧嘩、悪いのはこっちなのに・・・、謝ろうにも言葉が見つからない。玄関のチャイムを鳴らせず家の前で3時間もうろちょろした秋の休日 売れない漫画家ばかりが住んでいるおんぼろアパートで、明日の手塚治虫を夢見て、ペンを走らせたあの日。 初の武道館コンサートの本番をむかえる前日、興奮して眠れなかった宿泊先のホテルでの夜・・・。 後半の二つは、かなり限られた人のロストデイズですが・・・。 でも、「ロストデイズ」は悲しい話ではありません。 「ロスト」してしまった事に悲観的になる必要もありません。 人生は、過去の集積でしかない。 よって、過去がなければ今はないのです。 失ったのではない、糧になったんだな。 そう思うと、悲しさはやわらぎませんか?逆に、なんか自信が沸いてきませんか? 「ロストデイズ」は、皆さんの糧になるような、なんか少し前向きになるような、そんな芝居に、今しあがってきています。 是非観に来てください。 観劇してくだった方が、将来の手塚治虫になったり、武道館でコンサートをやるような人になるかもしれないですしね。 その時は、僕にサインください。 #
by lostdays-ex
| 2008-04-27 13:21
| 米山和仁
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by lostdays-ex
| 2008-04-26 19:39
| ブログ小説「プリズムリズム」
「コストデイズ」公式ブログですが、
先週からリニューアルしております。 デザインを制作してもらったのは、 諏訪 篤嗣さん。 現在、デジタルハリウッド渋谷校 総合ProコースWebデザイナー専攻に通学しているかたです。 前職は、バンドマン。 制作では、フライヤーのイメージを崩さないように心がけていただいたようです。 諏訪さんのインタビューがデジハリ渋谷校ブログに掲載されてます。 ご覧下さい。 #
by lostdays-ex
| 2008-04-26 19:17
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